こんにちは、阿Q管理人です。
中国の伝統的な菓子として広まっているものについて調べているのですが、中国がお菓子の歴史を捏造していることがわかりました。
今中国の伝統菓子として広まっているこの下のお菓子、どうやらこれは日本のお菓子をパクったもののようです。
人民網のツイートで問題となった唐菓子(和菓子)と同じで、唐発祥ということにされています。
唐菓子(天津の夫婦が売り出した和菓子)については、私はただの大規模な誤解だと思っていましたが、今では中国人全体で日本のお菓子を中国起源にしようとしているのでは?と思っています。
今回は透花糍の歴史が捏造だと指摘している、とある中国人の記事を翻訳してご紹介いたします。
まず、透花糍のことに気づいたのは、とある中国人が私に送ってきた以下のリプライがきっかけでした。
それに対する私の返信
【翻訳】
リプライありがとうございます。気づきませんでした。
とても綺麗ですが、それは本当に中国菓子ですか?日本の菓子を真似たように見えます。
個人的には、6つの花びらのお菓子のモチーフが何なのか気になります。
中国の花である梅も桃も、花びらは5枚です。3つ目の梦花录春水生は日本の寒天菓子ではないですか?私は中国の亀苓膏を食べたことがありますが、透明な中国菓子を聞いたことがありません。
私は中国菓子について無学なので、何か知っていたら教えてください。
亀苓膏: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%80%E8%8B%93%E8%86%8F
今のところまだ返信はありませんでした。
調べてみたところ、どうやらこの花の形のお菓子は「桃花酥」というものだそうです。
この菓子についていろいろ調べてみましたが、最近になってできたレシピの情報しか出てきません。
「中国の宮廷菓子」として紹介されていますが、中国の宮廷ドラマには出てくるものの、実際に宮廷で食べられたという資料が全く出てこないのです。
“中国のお菓子”を宣伝している中国人のアカウントがあります。かなりRTされています。
その人にリプライでこのお菓子の伝統について質問してみました。
【画像3つ目のリプライの翻訳】
『史記·叔孫通伝』古者有春嘗菓,方今桜桃熟可献。——『康熙字典』
重要な点: 菓子は小麦粉で作られた食べ物や菓子の総称で、油で揚げた菓子を含みますが、油で揚げたものだけを菓子と呼ぶわけではありません。
遅くとも漢代までには、穀物や天然色素を使った果物の模倣が始まりました。
この漢文ですが、ググってみたところ1件だけ引っかかりましたが、「菓」ではなく「果」と表記してありました。この中国人のリプライでは「菓」になっています。なぜ異なるのかは原文を見つけ出せないのでよくわかりません。「果」も「菓」も同じ漢字なのでしょうか?私にはちょっとよくわかりません。
このサイトの現代語訳は「「古(いにしえ)では春に果物をまつることをしました。まさに今、桜桃(さくらんぼ)が熟(じゅく)しており、献(けん)ずるべきで、」となっており、菓子とは関係がないようです。
また、天然色素を使った果物の模倣が始まったことの根拠になっていません。
この中国人がこれで何を言いたいのかが全然わかりませんでした。
上の画像の4つ目のリプライは、唐の時代に書かれたとされる『雲仙雑記』の透花糍についての内容です。今回のテーマとなる部分です。本コラムの最後に和訳をお見せいたします。
そのリプライに対して私がとある記事を引用してみせると、以下のような返事をいただきました。
「透花糍」という菓子についての誤解があるかもしれないと気づいたようです。
「荷花酥」と「桃花酥」の起源についてはこう伝えられました。
【添付されたスクショ内の翻訳】
蓮花酥は浙江省杭州の有名な伝統的な食べ物の一つで、中国式の伝統的なお菓子です。蓮花酥の歴史は南宋の臨安に由来し、古代では宮廷の皇帝が用いていたお菓子です。外観が蓮の花のように幾重にも綻んでいることから蓮花酥と名付けられ、美して美味で、口当たりが新鮮でさわやかで、綿のように柔らかく繊細で、しつこくない甘さで、花びらのように香ばしい味です。(以下は同じような味や見た目の話なので省略)
文献は見つからないのに、なぜインターネット上には起源が書いてあるのでしょうか?
怪しすぎます。
それでは本題の、先ほど私がリプライで引用した記事を翻訳してご紹介いたします。2022年6月6日のものです。
原文: 被误解的透花糍 https://www.163.com/dy/article/H969761R05522XYM.html
誤解された透花糍
正月の餅に光が当てられる時
【糍(餅)】
近年、「透花糍(トウファツ)」についての美しい誤読が人々の間で広まっている。多くの人は透花糍が餅米の皮で小豆の餡を包んでいて、下の餡の色がかすかに透けて見える食べ物だと思っている。小説の引用であれ、論文の復唱であれ、食事の道具であれ、実験による復刻であれ、例外なく文献を読んだり原文の論理を推測したりという手順を踏まずに、憶測の中の透花糍を直接作り出してしまっているようだ。
日本の大福
同時に、この復元された食べ物が和菓子の形にされやすいことにも気づいた。餅皮の雪媚娘(いちご大福)や雪胖子(大福)だと思うのが正常な反応だが、これらは近年日本の「大福」から取り入れられて徐々に広まった菓子であることを理解しよう。
小豆を包んだ餅米の団子のことを透花糍というのは、私は決して同意しない。
透花糍という食べ物は『雲仙雑記』の『品物類聚記』より、このように記されている
呉興米,炊之甑香;白馬豆,食之歯酔。虢国夫人廚吏鄧連,以此米搗為透花糍,以豆洗皮作霊沙臛,以供翠鴛堂。構文規則理論では、明らかに2種類の食べ物が並列して紹介されている。インターネットで言われているように餅で「霊沙臛」を包むのではなく、別に(もう一つ)型で菓子を作るという意味である。
〜中略〜
・材料の説明
・白馬豆と小豆や緑豆は関係がないこと
などが書かれています。虢国夫人の炊事を担当していた鄧連という小役人が、当時の2種類の良い材料を使って別々の2つの料理を作り、翠鴛堂の貴婦人に献上した。私の想像では、一つは甘くて一つはしょっぱく、一つはお菓子で一つは料理だと思われる。
以此米搗為透花糍
呉興米を蒸して搗き、透花糍という餅を作るという意味。餅米を蒸して搗き砕いた後にできた食べ物を「糍」と言い、「透花」は質感を形容するものであるはずだ。つやつやしていて白く、花の色が透けるようであるということだ。以豆洗皮作霊沙臛
白馬豆を用い、皮を剥いて餡にして霊沙臛を作るという意味。臛本は肉羹(肉のスープ)の意味。餡を使って肉羹のような食感を模している。嘉興地区の新年の餅つき
作る過程を説明すると、透花糍は餅つき、新年の餅つきと一致し、餡を包んでいない。
真実は人々を幻滅させるかもしれないが、私はマーケティングのために古代の食べ物を過度に美化し、古今の繋がりを断つのは決して良いことではないと思う。
古代の人々の遅れている部分を理解して受け入れ、彼らのロマンチックな想像力を鑑賞し学べば、さらなる自信とインスピレーションを得ることができるかもしれない。
今のバラエティ番組やドラマは何の根拠もなく日本のものを使用していて、名前を変えて古代の伝統菓子として包装し、宣伝しています。
このような大衆を騙すようなやり方は望ましくなく、批判しなければならない。
【完】
引用元: https://www.163.com/dy/article/H969761R05522XYM.html
唐の時代に書かれたとされる『雲仙雑記』の以下の文章について考察されていますね。
呉興米,炊之甑香;白馬豆,食之歯酔。虢国夫人廚吏鄧連,以此米搗為透花糍,以豆洗皮作霊沙臛,以供翠鴛堂。
私は高校で習ってからもう何年も漢文を読んでいませんが、これは日本人が普通に読んでみたら
「呉興米,炊の甑香;白馬豆,食の歯酔。虢国夫人の廚吏(料理人)である鄧連は,此の米を以って搗き透花糍と為し,豆を以って皮を洗い霊沙臛を作り,以って翠鴛堂に供える。」
のようになるのではないでしょうか。漢文に詳しい人がいたら教えてください。
「豆を以って皮を洗う」は現代人の我々にとって一見意味がよくわからないですが、「洗米」が米の糠を落とすことであるため、豆の皮を取り除くことだと推測できます。
呉興米と白馬豆という2つの材料を挙げていて、透花糍と霊沙臛という別々の食べ物を作っていることは、日本人にとっても明らかだと思います。
ここで最初に挙げた中国人のリプライとその翻訳を見てみましょう。
【翻訳】
唐の馮贄による『雲仙雑記』には、透花糍の外皮は「炊の甑香」の呉興米、餡は「食の歯酔」の白馬豆を選び、皮を取り除いて細かい砂のようにし、型に入れて花の形を形を作ったという。透花糍は花の形をしたあんこが半透明の皮の下に見え隠れすることからそのように名付けられた。このお菓子は江南船点ですが、日本の和菓子もこの記録に似ています。
なぜあの漢文からこんな解釈になるのかが全然わかりません。
日本人でさえ普通に読んだら2つの食べ物が作られたとわかるのに、なぜ中国人がこのように解釈しているのでしょうか。
ウリナラファンタジーならぬウォーグオ(我国)ファンタジーも存在していることが判明しました。
そして重要なのは、この中国人は人民網のツイートに対して「それは和菓子だ」と言って批判していて、Twitter上で韓国の中国文化盗用に反論を繰り返している人だということです。
そんな人でさえ日本の菓子からパクった透花糍を中国の伝統菓子として無意識に言い広めています。
これかなりヤバくないですか?
さらにヤバい(面白い)ことが見つかりました。
CCTV(中国の国営放送)の番組『美食中国』でこのウォーグオファンタジーが紹介されています。
『雲仙雑記』を書いたとされている馮贄が自身の漢文を読み上げるのですが、その後になぜかウォーグオファンタジーの透花糍を作ってしまいます。
自分で書いた漢文を理解していない…?
マジレス、この番組を制作するにあたって誰も時代考証をしなかったのか?というか漢文に何も違和感を憶えなかったのか?と思います。
そんなに今の中国人は漢文が読めないんでしょうか。かなり驚きました。
最後に私がこのコラムを書こうと思ったきっかけとなる、リプライでウォーグオファンタジーの透花糍を伝えようとした方を紹介します。明らかに日本語が変ですよね。
本当にこの透花糍が唐に存在したと思っていたのかもしれませんが、意識的であれ無意識的であれ、こうやって歴史を変えようとする五毛はいっぱいいるんだろうなと思います。
むしろ無意識的に広めている方が怖いですが。
どうか日本の和菓子の起源を盗まれないように注意していきましょう。
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